大判例

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大阪地方裁判所 昭和51年(ワ)5134号 判決

原告(原告番号1)

柴山百合子

原告(2)

木本菊治

原告(2)

木本久枝

原告(3)

伊藤辰夫

外五名

原告(9)

甲斐嘉澄

原告(9)

甲斐島子

外一五名

(以下原告番号1ないし9の原告らを「第一次原告」といい、その余の原告らを「第二次原告」という。)

第一次原告及び第二次原告訴訟代理人

松本健男

外二四名

被告

右代表者法務大臣

倉石忠雄

名指定代理人

稲垣喬

外一三名

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告らに対し、それぞれ別紙原告別一覧表各(5)欄記載の金員及びこれに対する第一次原告については昭和五〇年九月九日から、第二次原告については昭和五一年一〇月二一日から、各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  主文と同旨

2  担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告らの地位

原告らは、別紙原告別一覧表各(1)欄記載の各子女の親として同人らを監護教育する権利義務を有するものであるが、同人らを同表各(2)欄記載の各私立高等学校(以下私立高校という。)に進学及び通学させ、同表各(3)欄記載の年度及び学年において、同表各(4)上欄記載の入学検定料、同記載の入学金、同記載のその他の入学一時金(寄付金、教育充実費、施設設備費等入学金以外に入学時に強制徴収されるもの全てを含む。)、同記載の授業料及び同記載のその他の経常的納付金(学校行事費、諸費、校費等授業料以外に学校側が管理運営上の必要から強制的に徴収しているもの全てを含む。)をそれぞれ支払つた。

2  被告国の教育条件整備義務

(一) 国民は、自己の人格の完成をめざして人間的諸能力を最大限かつ調和的、有機的に成長、発達させるために必要な学習をする権利を有する。特に、高度に発展した現代社会においては、基礎的教育を受けないで健康で文化的な社会の一員として生活していくことは極めて困難であり、しかるとき教育を受ける権利はまず生存権的基本権として把握されなければならない。したがつて、教育を受ける権利とは、日本国憲法のめざす「平和で民主的な文化国家」の主権者として、そのような国のもとにおける社会生活を営むのに必要な条件がみたされる権利すなわち生存のための労働の意義を理解し、労働の意欲と技術を教育を受けることによつて修得する権利である。そして、憲法二六条にいう「その能力に応じて」「ひとしく」「教育を受ける権利を有する」とは、すべての国民がそれぞれの能力に応じて経済的地位等によつて差別されることなくそれぞれに適合する教育を受ける機会が現実に保障されなければならないことを意味する。右の権利に対応して、被告国は、教育が不合理な障害なしに実施されるように教育の諸条件を整備する義務を有する。

(二) 憲法二六条は具体的な法的権利を規定したものであり、司法手続によって権利侵害を排することができる具体的な裁判規範である。すなわち、

(1) 教育を受ける権利は資本主義経済磯構の発展にともない必然的にひきおこされた勤労大衆の搾取、抑圧過程における切実な人権回復の要求として掲げられ、生成されてきた「資本主義的権利」である。

(2) 日本国憲法は、国民の自由及び権利の章典であつて、憲法により侵すことのできない永久の権利として国民に信託された基本的人権は立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とされ(憲法一三条)、しかも基本権条項を中心とする憲法の最高法規性がうたわれ、その条規に反する法令、国家行為の無効が定められ(憲法九八条一項)、このことを司法制度上担保するために最高裁判所に違憲、合憲決定権が賦与されている(憲法八一条)。

(3) 憲法二六条が抽象的規定しかおいていないのは、教育を受ける権利や普通教育の概念がその時代の文化、社会の発展等によつて変化しうるからであつて、その時々の文化、社会の発展状況、教育に対する社会的関心の程度をふまえた解釈により教育を受ける権利の具体的内容を確定できる。

(4) 憲法二六条一項の「法律の定めるところにより」とは、かつての勅令主義を排するとともに国に対し条件整備のための立法義務を課したものであつて、法律に具体化されてはじめて、しかもその限度においてのみ国民が法的権利を有することを意味するものではない。

(5) 社会的基本権の表現に要する予算は政治的裁量事項ではなく、憲法によつて拘束されている。また裁判所の違憲立法審査権の行使によつて立法施策の違憲性が確認されたことによつて予算措置を伴う立法措置が必要となるとしても、それは司法審査の間接的結果にすぎず、裁判所が国会の権限を侵害することにはならない。

(6) 憲法の付属法的地位を占める教育基本法(以下教基法という。)は、明確な基準を示して教育の機会均等を定め(三条一項)、経済理由によつて修学困難な者に対し奨学の方法を講じるべき被告国及び地方公共団体の義務を明示し(三条二項)、教育行政が教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標とすべき義務を定め(一〇条二項)、さらに法令制定義務を定めているのであつて(一一条)、これらの規定により課せられている義務は具体的な法的義務といわなければならない。

(三) なお、原告らも国会の立法裁量を全く否定するものではないが、本件のように憲法自身が法律によりある事項を定めると規定している場合、その施策を実施するための法令の制定は義務づけられており、またその内容も憲法二六条及び教基法の拘束を受け、その裁量には合理的限界があるというべきである。

3  高校教育に対する社会の認識

現在社会においては、国民が社会生活を市民としてふさわしく送るための基礎的学力や知識は、高校教育を修了するのでなくては習得することが困難であり、高学教育が「すべての国民が人間的に成長、発展し自己の人格を完成し平和な国家及び社会の形成者として自主的精神に充ちた国民となるに必要な教育」の中に含まれていることは、社会の共通認識となつている。

以上の点は次の諸事情から明らかである。

(一) 学校教育法の規定

学校教育法は、中学校における教育の基礎の上に高等普通教育及び専門教育を施すことを高校教育の目的と定め(四一条)、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと等をその目標とすると定めている(四二条)。

(二) 高校進学率の推移

わが国における高校進学率の推移は、別紙1、2記載のとおりであり、昭和五〇年度における高校進学率は、全国平均男子91.0%、同女子93.0%、大阪府男子95.0%、同女子94.0%、京都府男子93.8%、同女子94.5%、兵庫県男子94.5%、同女子96.0%に達している。

(三) 就職状況

国家公務員の採用試験は、いずれも大学、短期大学又は高校卒業程度とされている。

民間企業においても、求人は大企業ほど高校卒業者に集中しており、中学校卒業者が企業規模が大きく、安定性ある企業に就職できる割合は低い。しかも、中学校卒業者の職種は生産工、技術工の割合が高く、事務専従者の割合が低くなつており、中学校卒業者に対し必ずしも全ての職種の門戸が開かれているわけではない。中学校卒業者に対する求人倍率が高いのは、中学校卒業者の絶対数が少ないためである。

(四) 諸外国の動向

(1) 一九四八年に国際連合総会で採択された世界人権宣言は、「人はすべて教育を受ける権利を有する。教育は少なくとも初等かつ基礎的段階においては無償でなければならない。」と規定している。

(2) 国際人権規約A規約一三条は、初等教育の無償は勿論のこと、中等、高等教育も無償制の漸進的な採用によつて全ての者に開放されなければならないことをうたつている。

(3) 義務教育年限は、八ないし九年が下限であり、アメリカ合衆国においては一〇年―九州、一一年―三州、一二年―二州、カナダにおいては一〇年―三州、イギリスにおいては一一年(すべてではない)、フランスにおいては一〇年である。

(4) ソ連をはじめとする社会主義国においては、中等、高等教育に至るまで授業料は一切徴収されていないし、カナダにおいては、初等中等教育は二一歳以下の児童生徒に対し無償で行われ、欧米各国においては、国公立高校、大学の無償制はほぼ確立され、奨学金制度も給与制となつている。

4  私立高校進学の事情

(一) 高校進学者及びその親は、学費負担が格段に少なくてすみ、教育条件の優れている公立高校への進学を希望するが、学力程度等によつて公立高校の入学試験に合格できなかつたため又は中学校教員による進路指導等によつて不本意ながら私立高校に進学せざるを得ない事情にある。この現象は高校進学希望者数に見合う公立高校数の絶対的不足に起因するものであり、これを大阪府について見ると別紙3、4記載のとおりであつて、大阪府においては約四割の生徒に在学している。

(二) 原告らの各子女の私立高校進学の理由は、別紙原告別一覧表各(6)欄記載のとおりである。

5  公私立高校間の学費格差

(一) 大阪府等の公立高校入学者の入学検定料、入学料、授業料(年額)の負担額は次のとおりである。

(1) 大阪府

昭和五〇年度以前入学者

入学検定料 三〇〇円

授業料  七二〇〇円

昭和五一年度入学者

入学検定料 五〇〇円

昭和五一年度授業料

一万二〇〇〇円

昭和五二年度授業料

一万四四〇〇円

(2) 京都府

昭和四九年度入学者

入学検定料 二〇〇円

入学金   二〇〇円

授業料  七二〇〇円

(3) 兵庫県

昭和五〇年度入学者

入学検定料 二〇〇円

昭和五〇年度授業料  九六〇〇円

昭和五一年度授業料

一万四四〇〇円

(二) 大阪府下等の私立高校の入学金及びその他の入学一時金(以下本項において「入学金等」という。)、授業料及びその他の経常的納付金(以下本項において「授業料等」という。)の平均額は左のとおりであり、大阪府下の公私立高校の学費格差の推移は別紙5記載のとおりである。

(1) 大阪府下

昭和四八年度入学者

入学金等  七万六一〇〇円

授業料等 一〇万四四〇〇円

昭和四九年度入学者

入学金等  九万八八〇〇円

授業料等 一二万六一〇〇円

昭和五〇年度入学者

入学金等 一三万三八〇〇円

授業料等 一八万〇八〇〇円

昭和五一年度入学者

入学金等 一五万四一〇〇円

授業料等 二一万三二〇〇円

(2) 京都府下

昭和五一年度入学者

計 三六万〇二四八円

(3) 兵庫県下

昭和五一年度入学者

計 三三万五〇〇〇円

(三) ところが、公私立高校の学校教育費の負担区分構成(昭和四八年度の全国平均)は別紙6記載のとおりである。

6  超過学費支出による生活破壊の実態

(一)(1) 大阪府の勤労者年間実収入平均一六五万七二〇〇円の人がその子女を私立高校に進学させる場合、昭和五〇年度の第一学年の平均学費負担額は三一万四六〇〇円であつて、総収入の18.7%に達し、同年度の第二学年以降のそれは一八万〇八〇〇円以上であつて、総収入の10.9%に達する。仮にこの人の世帯が夫婦と子供三人で他に所得がないと仮定した場合、右学費支払によつて年間一三四万二六〇〇円(月間一一万一九〇〇円)で一家五人が生活していかなければならないことになり、国民生活上の受認限度を超えるものといわなければならない。

(2) しかも、授業料等は教育費の一部にすぎない。東海銀行の調査によれば、昭和五〇年一月中旬の時点で私立高校生の場合、授業料八八七五円、PTA会費、学級費、修学旅行積立金その他諸費九七二二円、合計一万八五九七円を必要とし、これに教科書代、通学定期代、被服費等を加えると、私立高校生の親は毎月最低二万数千円の教育費の支出を余儀なくされている。

(3) 右のような事態は私立高校生を含む家族世帯に重大な生活破壊をもたらしているばかりでなく、当該私立高校生及びその兄弟の教育を受ける権利に直接間接に重大な障害を及ぼしている。

(二) 原告らの被つている生活破壊の実態は、別紙原告別一覧表各(7)欄記載のとおりである(欄は原告の職業、欄は原告の月収、欄は原告の個別事情を示す。)。

7  被告国が高校教育に関し講じるべき具体的義務

(一) 教育を受ける権利を実質的に保障するためには、公教育も無償制に進むことが要請される。憲法二六条二項が「義務教育は、これを無償とする。」と定めたのは、右の観点に立つて、教育を受ける権利の保障を確実なものとするため、人間の成長・発達の最重要期の教育条件を優先的、重点的に整備することを被告国の義務として明らかにしたものである。したがつて、義務教育無償制は、単に九年制義務教育にだけ限定されるものではなく、時代の進展、国民の教育要求の高まり等につれて、中等教育から高等教育へと広まつていくのは歴史的必然である。

(二) 高校教育が、現在においては「人たるものに共通に必要な教育であり、人たるものだれもが一様に享受しうるはずの教育」すなわち普通教育の実態を有することは前記3に記載のとおりである。したがつて、

(1) 高校教育における学費は、あらゆる所得段層の生活を圧迫しないようできるかぎり低廉であること

(2) 個々の父兄の負担する学費は均等であることが要請され、被告国は、例えば、

高校進学希望者全員を収容するだけの公立高校を設置するために、被告国自身がその財政負担について責任をもつことを内容とする法律の制定、予算措置の実施を具体化すべき義務

右が困難であれば、私立高校の超過学費額に相当する返済義務のない奨学金の支給制度の整備を図る法律の制定、実施によつて、超過学費負担の解消を具体化すべき義務

より現実的に、私立高校生のうち、父兄の収入が一定額以下の勤労者である者に限定して、超過学費に相当する又はそのうちの一定額の奨学金を支給する義務

を有している。

8  被告国の損害賠償責任

(一) 国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である(憲法四一条)。行政権は内閣に属し(憲法六五条)、法律案の提出権限(憲法七二条)、法律を誠実に執行する義務(憲法七三条)、予算の作成提出権限(憲法八六条)を有している。また国会議員、国務大臣は憲法尊重擁護義務(憲法九九条)を負つている。

(二) 高校義務化の状況の中でやむをえず私立高校に進学する多数の者が巨額の学費負担を強いられている実態(前記3ないし6)は、大きな社会問題としてマスコミにとりあげられ、私立高校生の親、私立高校の経営者、教職員等によつて陳情され、また被告国とともに教育施策について責任を有する地方公共団体からも助成金の補助等の強力な要請が行われていたから、国会(又は国会を構成する国会議員)又は内閣(又は内閣を構成する国務大臣)は、右の教育侵害の事実を充分認識しうる地位にあり、実際にも認識していた。

(三) したがつて、右公務員らは、右教育侵害の事態が発生したのちの合理的期間内に、大阪府の場合私立高校の初年度の納付金の合計額の平均額が一〇万円を超えた昭和四四年度以前に、前記7(二)記載の施策を講ずるべきであつたのに、不作為により右教育侵害の事実を放置し、現在に至るまでこれを野放しに近い状態にしている。

(四) これは、被告国の公権力を行使する右公務員がその教育にかかる職務を行うについて、故意又は過失により違法に私立高校生の親である原告らに対し受認限度をこえる損害を加えたことに帰するから、被告国は、国家賠償法一条一項によりその損害を賠償すべき義務がある。

9  損害

(一) 原告らの損害額は、前記7(二)の施策が講じられていたならば当然に軽減のために補助がなされるべき金額と同一額であり、原告らはいずれも勤労者であるから、公立高校の学費との差額分がその損害額となる。

(二)(1) したがつて、各原告が支払つた入学検定料(別紙原告別一覧表(4)上欄に記載)、入学金(同)、その他の入学一時金(同)、授業料(同)及びその他の経常的納付金(同)の合計額から、各原告の居住地の公立高校の入学検定料、入学金(但し京都府のみ)及び授業料の合計額()を差引いた。

(2) 原告辻中広次、同辻中秀子(原告番号21)、原告淡美津江(同13)は、その子女をそれぞれ和歌山県下、奈良県下の私立高校に進学させたが、進学希望者全員を収容しうる公立高校があれば、住居地である大阪府の公立高校に進学させえたはずであるから、大阪府の公立高校学費との差額を請求する。

(3) 原告番号1ないし3及び21ないし25の各原告の子女は、別紙7各該当年度私立欄記載の額の大阪府高等学校等修学奨励費(通称解放奨学金)を受給しているが、この制度は、これまで社会的に差別されてきた未解放部落の子どもが社会的差別の結果重大な教育差別を受けてきたため高校進学率においても部落出身者でない者と比べて格段の相違があるという実態に着目し、速やかに部落差別を解消するための同和対策審議会の答申に基づいて大阪府によつて設けられた制度であり、基本的には同和地域においてその子弟を高校に進学させる場合における家計費の補助という本質を有している。したがつて、公立高校生と私立高校生への共通の支給額(公立高校生への支給金額)は高校進学自体に伴う家計補助費であり、教育費の補助ではない。よつて、公立高校生と私立高校生の各支給額の差額分のみが私立高校生の直接の教育費の一部補助に該当するから、右差額金より別紙8記載の学費以外の教育諸費を控除した金額をさらに差引いた(別紙原告別一覧表(4)上欄に「奨」として記載する。)。

(4) 大阪府による私立高等学校生徒授業料軽減補助制度の適用を受けている原告については、その金額をさらに差引いた(同じく「補」として記載する。)。

10  よつて、原告らは被告国に対し、国家賠償法一条一項に基づき、別紙原告別一覧表各(5)欄記載の損害金及び右各金員に対する、第一次原告については昭和五〇年九月九日から、その余の各原告については昭和五一年一〇月二一日から、それぞれ支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は知らない。

2  同2の主張は争う。

3  同3の主張は争う。

同3(一)の事実は認める。

同3(二)の事実は認める。

同3(三)の事実のうち、国家公務員の採用試験がいずれも大学、短期大学又は高校卒業程度とされていることは認め、その余の事実は争う。

同3(四)(1)の事実は認める。同(3)の義務教育年限は、アメリカ合衆国において一〇年(最も多くの州において)、イギリスにおいて一一年、フランスにおいて九年又は一〇年である。

4  同4(一)の事実は争う。ただし、大阪府における公私立高校の収容割合が別紙3、4記載のとおりであることは認める。

同4(二)の事実は知らない。

高校への入学は、各高校における入学者の選抜に基づいて決定されるものであり、単純に収容力の不足のみをもつて余儀なく私立高校へ入学しているとの主張は正当ではない。

5  同5(一)の事実は、大阪府の公立高校の昭和五一年度入学者の入学検定料及び昭和五一年度授業料を除き、認める。右入学検定料と授業料の合計額は一万二九〇〇円である。

同5(二)の事実のうち、大阪府下の私立高校の入学金及びその他の入学一時金、授業料及びその他の経常的納付金の平均額が昭和四〇年度から同四九年度まで別紙5記載のとおりであることは認め、昭和五〇年度以降については否認する。正しくは別紙9記載のとおりである。

同5(三)の事実は認める。

6  同6(一)の主張は争う。

同6(二)の事実は知らない。

7  同7の主張は争う。

8  同8の主張は争う。

9  同9(一)の主張は争う。

同9(二)(1)の事実のうち、原告らの各子女の通学する私立高校の入学金等の額についての被告の認否は、別紙原告別一覧表各(4)下欄記載のとおりである。ただし、原告らの支払の有無は知らない。

同9(二)(2)の主張のうち、原告淡美津江の居住する大阪府下には自動車に関する高校は設けられていないから、大阪府下の公立高校の学費と自動車工学科のそれとを対比するのは失当である。

同9(二)(3)の事実のうち、原告番号1ないし3の各原告の子女に大阪府高等学校等修学奨励費が支給されていることは知らない。原告番号21ないし23の各原告の子女に支給されていることは認めるが、その支給額は争う。正しくは別紙10記載のとおりである。大阪府高等学校等修学奨励費が同和対策審議会の答申の精神に基づいて大阪府によつて設けられた制度であることは認める。別紙3の教育諸費の支払の有無は知らない。原告主張の右教育諸費は公立高校でも必要であるから、右奨励費公私差額から控除するのは不当である。

同9(二)(4)の事実は認める。但し、他にも受給している者がおり、その年度及び額は別紙原告別一覧表各(4)下欄補に記載のとおりである。

三  被告の主張

1  統治行為

憲法は基本的に三権分立の制度を採用している(憲法四一条、六五条、七六条一項)。しかも、国会は全国民を代表する選挙された議員によつて組織され(憲法四二条、四三条一項)、民主主義の統治原理のもとで国民を直接代表する国の中心的機関であり、それゆえ国の最高機関とされる(憲法四一条)。したがつて、憲法八一条のもとにおいても、高度の政治性を有する国家行為は、その当否の判断を民主主義のルールにのつとつた政治的過程の中で審査されるべきであり、それに対しては三権分立制度から生ずる司法権の本質に内在する制約として裁判所の司法審査権が及ばないと解すべきである。本件につき国会又は内閣が憲法二六条、教基法の趣旨、目的にそつた立法措置や予算措置を講じるべきか否かは、直接国家統治の基本に関する高度の政治性を有する国家行為であつて、司法審査権の範囲外である。

2  国会又は内閣の作為義務

不作為が違法とされるためには、作為をなすべき法的義務がなければならないところ、憲法二六条、教基法三条等の規定は、教育の機会均等を保障すべき国会や内閣の政治的責務を定めているにすぎず、法的義務を定めているものではない。すなわち、

(一) 憲法二六条は、義務教育の無償を定めるほかは抽象的に規定するにとどまり、さらに「法律の定めるところにより」と規定しているが、このような条文の規定の仕方自体、その具体化を法律すなわち国会の裁量にまつべきものとしていると考えられる。

(二) 「教育を受ける権利」や「普通教育」というも、それ自体抽象的概念であるうえ、その時代の文化・社会の発展の程度、教育に対する国民の関心・熱意・知識・教養の社会的必要性等によつて変化するものであつて、「教育」なる概念がその程度、態様、方法において極めて広い意味を有することとあいまつて、憲法の条文解釈によつてこれらの具体的内容を一義的に定めうるものではない。憲法二五条一項の「健康で文化的な最低限の生活」は、人の生活を保持する問題であるからその絶対的基準の設定が困難であるとはいいながらも一応可能であるのに対し、文教政策については、憲法の要請に基づく絶対的基準の設定が全く不可能である。

(三) 文教政策は、学校教育制度の面に限つても、わが国の経済、社会の状況、文化水準、財政状況等をふまえて、学校体系、教育内容の大綱、教職員の免許資格等を定め、教職員の配置を行い、施設設備の充実を図り、各種助成金を支出する等複雑かつ総合的有機的施策である。このような文教政策の策定にあたつては、政治的、社会経済的諸政策との調和を図りつつ、相互に関連する多くの複雑な諸要因について長期的展望に立つて統一的、合目的的判断を経る必要があり、結局は国民の合意によるべきものとして国会の審議を経た立法措置、予算措置にまつべきである。

(四) 教基法の諸規定は憲法をより具体化したものではあるが、「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため」(教基法前文)という立法趣旨から、義務教育期間、義務教育における授業料不徴収等のほかは、憲法の規定の再確認的、教育宣言的な極めて抽象的な規定にとどまつている。教基法三条一項の「教育の機会均等」も本人の能力以外の理由で差別してはならないとの意味以上の具体的な内容を有するものではなく、抽象的な指導原理というべきものである。したがつて、憲法二六条の具体化は、教基法の諸規定が存在するにもかかわらず、なお国会の裁量に留保されているのである。このことは、教基法一一条が「この法律に掲げる諸事項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。」と定め、その必要性の判断を法令制定者に委ね、さらに教基法の諸規定を具体化するための法令を制定すべきものとしていることからも明らかである。

3  国家賠償請求におけるその他の要件

(一) 免責特権

国が負う損害賠償責任の性質は、本来違法行為を行つた公務員が負うべき責任を国が代位して負う、いわゆる代位責任であり、したがつて、国が損害賠償責任を負うためには当該公務員について民法七〇九条所定の不法行為が成立しなければならない。そして、憲法五一条の免責特権の規定は国会議員の国会における一切の立法活動の自由を保障しようとする趣旨にでたものであるから、国会議員の作為はもちろん演説、討論、表決等をしなかつたという不作為についても院外で責任を問われることはないことを意味する。したがつて、国会議員の国会における立法活動としての作為、不作為について、被告国は国家賠償法一条一項の責任を負わないものである。

(二) 故意過失

国会の故意過失を認める場合、構成員各自の故意過失を離れて組織体自体のそれはありえないから、国会議員のうちの誰の故意過失を論じるのか疑問である。しかも、国家賠償法一条二項により当該公務員に求償しうることが被告国の責任の前提となるから、この点からも立法機関たる国会の機関意思の故意過失をもつて国家賠償法一条一項の故意過失とすることはできない。

(三) 因果関係

国の立法、行政作用は極めて広汎な事項にわたり、国民の社会経済活動のほとんどの分野に直接間接の影響を及ぼすから、因果関係も一般の場合と同様に考えることはできず、直接の因果関係に限定すべきである。特に不作為による侵害の場合はなおさらである。本件では直接の因果関係は否定されるべきである。

4  高等教育に対する社会の認識について

(一) 昭和四六年六月の中央教育審議会答申「教育改革のための基本的施策」は、「後期中等教育の段階は、一律に就学義務を課するよりも、さまざまな教育の機会を確保するとともに、その就学のための諸条件を整備することによつて、その趣旨(教育の機会均等)の実現を図るのが先決である。」と指摘しており、現に、昭和五二年三月の中学校卒業者のうち約四万八〇〇〇人が専修学校、各種学校、公共職業訓練施設等に入学している。

(二) 新規中学校卒業者の職業紹介状況は、別紙11記載のとおりであつて、求人倍率は新規高校卒業者より高く、職業紹介に当たつては、公共職業安定所と学校の緊密な連絡のもとに、就職希望者の適性と能力に応じた職業選択をし、その能力を発揮できるよう配慮している。しかも、学歴別生涯所得の差は別紙12に記載のとおりであつて、高校を卒業できない者が健康で文化的な生活を営む機会を阻害される状況はない。

5  生活破壊について

昭和五〇年における大阪市の勤労者世帯の年平均一か月間の実収入は二一万〇五〇六円であり、大阪府下の私立高校への昭和五〇年度入学者の生徒納付金三一万三八〇〇円は右実収入の12.4%である。同じく大阪市の勤労者世帯の実支出のうち生存権にかかると認められ食料費、住居費、光熱水費、被服費及び保険医療費並びに非消費的支出(所得税等)は年平均一か月間一一万〇七一三円であり、これは実収入の52.6%であるから、残りの47.4%は教育費等に充てることができる。しかも、既に入学している者の授業料及びその他の経常的納付金の年額は一八万一三〇〇円であり、実収入の7.2%にすぎない。さらに、低所得者の場合は、授業料軽減措置や奨学金によつて負担額の軽減が図られている。したがつて、私立高校の学費負担が私立高校生の家庭に生存権をおびやかすほどの経済的負担を与えているとの主張は、必ずしも正当ではない。

6  被告国の施策についての総括的主張

(一) 公教育とは、次代の国家社会の形成者である青少年を育成するために、国家社会としてその発達段階に応じた教育体系を整備し、教育資格、施設設備の基準、教育内容の大綱等を定めることによつて、全国的に一定水準以上に確保された教育を青少年に付与することをいうのであり、直ちに無償化に結びつくものではない。また、教育の効果は、社会全体に還元されるものばかりでなく、生徒個人に帰属する面も少なくないのであつて、しかも無償とするためには公費を大幅に投入せざるをえず、その公費は国民の税金を財源としている以上、高校教育にかかわりのない者も負担しなければならないことになるのであるから、受益者負担が不当であるとはいいがたいものである。

(二) 公立高校は元来設置者である地方公共団体が責任をもつて運営し、それに要する経費の大部分を授業料以外の一般財源から支出することを前提としているのに対し、私立高校の場合は学校法人が教育に要する経費や財務状況等を勘案して自主的に決定するのであつて、直ちに比較できる性格のものではない。

7  被告国及び地方公共団体が高校増設のために講じている施策

被告国及び地方公共団体は、希望者全員を入学させうるだけの公立高校を設置する法的義務を負うものではないが、公立高校に限らず私立高校も含めた高校教育の普及を図るため、次の施策を講じている。

(一) 被告国の講じている措置

(ア) 公立高等学校新増設建物費補助制度

公立高校建物の新増設費は従来から地方債及び地方交付税によつて措置されてきたが、高校生急増問題に対する緊急対策として昭和五一年度から新たにその三分の一を補助することとし、別紙13の予算措置を講じている。このほか、公立高校の新増設費は、地方債及び地方交付税によつて措置されることになつている。

(イ) 私立高等学校新増設建物整備費補助制度

右(ア)と同趣旨により、被告国は、私立高校に対し、昭和五一年度から私立高校建物の新増設費の三分の一を補助することとし、別紙14の予算措置を講じている。他に、後記3(一)(2)(カ)の一般施設費の貸付制度がある。

(二) 大阪府が講じている措置

(ア) 公立高校について

国からの助成金、地方交付税、地方債等による財源によつて新増設に努めている。

(イ) 私立高校について

独自の財源により大阪府下の私立高校建物の新増設に要する経費の三分の一を補助することとしている。

8  被告国及び地方公共団体が私立高校に関し講じている各種助成策

被告国及び地方公共団体は、私立高校及び私立高校生に対し、次の各種助成策を講じ、高校教育の充実振興を図るとともに、私立高校生の修学上の経済的負担の軽減を図つている。

(一) 被告国の講じている助成策

(1) 高校生に対し

(ア) 日本育英会法に基づく育英奨学金制度特殊法人日本育英会法(昭和一九年法律第三〇号)に基づき、優秀な学徒でありながら経済的理由により修学困難な学生、生徒に対し学費の貸与を行つている。最近の事業の概要は別紙15のとおりである。

(イ) 定時制及び通信制課程修学奨励制度

都道府県が勤労青少年の就学を奨励するために定時制・通信制高校の生徒に対し修学奨励費を貸与する場合、被告国がこの経費の二分の一を補助する制度であり、右生徒が右高校を卒業すれば返還債務は免除される(高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励費貸与事業実施要綱)。この制度のための被告国の予算措置は別紙16、17のとおりである。

(ウ) 同和対策高等学校等進学奨励制度

同和地区の子弟には、高校等に進学する能力をもちながら経済的理由により進学できない者が多数いる。都道府県・指定都市が右の者に奨学金や通学用品等助成金(入学の際の学用品費、制服、カバン等一時の出費の補助)を支給する場合、被告国がその経費の三分の二(昭和四四年度以降)を補助する制度である。この制度の概要は別紙18、19のとおりである。

(エ) 母子福祉貸付金制度

都道府県が、母子福祉法に基づき、配偶者のない女子が扶養している子が高校等に就学するのに必要な資金を貸付ける際、被告国がその経費の三分の二を都道府県に貸付けている。昭和五一年度の場合、高校生については月額六〇〇〇円(特別の場合八〇〇〇円)を限度としているが、昭和五〇年度の高校生についての修学資金の貸付状況は、人員二万八一五三人、金額一〇億七六〇〇万円にのぼつている。

(2) 高校に対し

(ア) 私立学校振興助成法に基づく経常費補助制度

被告国は、私立学校に在学する生徒等の修学上の経済的負担の軽減を図るため、都道府県知事が私立高校に対して行う経常費助成について昭和四五年度から地方交付税により必要な財源を措置し、昭和五〇年度からは、国の予算においても私立高等学校経常費助成費補助金を計上した。被告国は、昭和五一年度から施行された私立学校振興助成法の趣旨をふまえ、私立高校に対する経常費助成の一層の拡充を図るためその財源措置を強化している。その概要は別紙20のとおりである。

(イ) 高等学校クラブ活動設備等補助制度

高校におけるクラブ活動の振興を図るため、公私立高校の設置者がクラブ活動を実施する上に必要な設備の整備に要する経費の三分の一を補助するものである。この制度のための私立高校に対する被告国の最近の予算措置は別紙21のとおりである。

(ウ) 高等学校定時制及び通信教育設備整備費等補助制度

高校の定時制教育及び通信教育の振興に資するため、公私立高校の設置者がその定時制及び通信制の課程の教育条件の整備充実及び在学する生徒の修学条件の改善を図るために必要な設備の整備に要する経費及び運営費について、費用の種類に応じその二分の一又は三分の一を補助するものである。この制度のための私立高校に対する被告国の最近の予算措置は別紙22のとおりである。

(エ) 理科教育等設備整備費補助制度

理科教育振興法(昭和二八年法律第一八六号)に基づき、理科教育の振興を図るため、公私立の学校の設置者が実施する計量器、実験機械器具等の設備の整備に要する経費について、その二分の一を補助するものである。この制度のための私立高校に対する被告国の最近の予算措置は別紙23のとおりである。

(オ) 産業教育施設・設備整備費補助制度

産業教育振興法(昭和二六年法律第二二八号)に基づき、産業教育の振興を図るため、公私立の学校の設置者が実施する農業、工業、商業、水産業その他の産業教育に関する施設設備等の整備等に要する経費について、経費の種類に応じその二分の一、三分の一又は全部を補助するものである。この制度のための私立高校に対する被告国の最近の予算措置は別紙24のとおりである。

(カ) 日本私学振興財団法に基づく施設費等の貸付制度

日本私学振興財団法(昭和四五年法律第六九号)に基づいて設立された日本私学振興財団は、その事業の一つとして私立学校教育の振興を図るため、一般施設費(校舎等の増改築費)、既往債務弁済費、経営費等について学校法人に対し長期低利の融資を行つている。例えば、一般施設費の現在の貸付条件は、貸付期間二〇年(うち据置期間二年)、年利率6.05%である。私立高校に対する一般施設費の場合の最近の貸付事業の概要は別紙25のとおりである。

(二) 大阪府が独自の財源により講じている助成策

(1) 高校生に対し

大阪府育英会事業

大阪府からの助成金によつて運営されている財団法人大阪府育英会は、大阪府下に住所を有する者の保護する生徒・学生で、向学心に富みながら経済的理由のため修学の困難な者に入学金及び授業料等の学費の貸与を行つている。最近の事業の概要(予算)は別紙26のとおりである。

(2) 高校に対し

(ア) 私立高等学校生徒授業料軽減補助制度

私立高校の全日制又は定時制の課程に在籍している生徒の学資を負担している者の経済的負担を軽減するため、私立高校を設置している学校法人が生徒に対して実施する授業料の軽減措置に要する経費を大阪府が補助するものである。最近の事業の概要(予算)は別紙27のとおりである。

(イ) 大阪府私学振興会による施設費等の貸付制度

大阪府からの助成金によつて運営されている財団法人大阪府私学振興会は、私立学校教育の振興を図るため、一般施設整備資金(校舎等の増改築に要する経費)、短期運営資金、一般経営改善資金について、大阪府下の学校法人に対し長期低利の融資を行つている。例えば、一般施設整備資金の現在の貸付条件は、貸付期間一〇年、年利率六%である。私立高校に対する一般施設整備資金の場合の最近の貸付事業の概要(予算)は別紙28のとおりである。

四  被告の主張に対する原告の認否及び反論

1  被告の主張1ないし3の主張は争う。

2  同4(一)の事実は認める。

3  同5、6の主張は争う。

4  統治行為について

(一) 憲法は、三権分立制を採用しているけれども、同時に「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」(八一条)と定め、古典的三権分立制に重要な変更を加え、司法審査の対象とするのが不適当な事項を明文で定めており(五五条、六四条)、それを受けて裁判所法も、裁判所は「日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判」する権限がある旨(三条一項)定めている。したがつて、日本国憲法が明文で除外した例外を除き、一切の国家行為が司法審査の対象となると解すべきである。

(二) 仮に統治行為の存在自体を否定しえないとしても、司法権が安易に司法消極主義に依存し、その限界を大きく承認するならば、政府の違憲行為を承認し、ひいては憲法的秩序の自壊をひきおこす危険なしとしない。違憲審査制が、法治主義の下で、真に人権保障に徹した憲法保障制度の一翼たりうるためには、特に民主制の基礎をなす基本的人権や平和主義を争点とする憲法争訟の領域においては、むしろ司法積極主義に立つて民主主義の確立のために貢献することこそが期待される。

5  国家賠償請求の要件について

(一) 免責特権

免責事由の存否は、不法行為の構成要件の充足の問題ではなく、民法七〇九条の構成要件を充足した不法行為に関してその者に責任を問いうるか否かの問題である。したがつて、免責特権をもつて、国家賠償法上国が免責されることはありえない。

そもそも免責特権の法理は院内での議員の自由な言論を確保することによつて国民的立法の定立を可能ならしめ、推進せしめるために設けられたものであつて、右趣旨を逸脱し、憲法の要求している国民的立法形成の精神を違憲的に歪める立法行為及びその不作為は、免責特権の対象から除外されるべきである。

(二) 故意過失について

国会又は内閣という機関自体の故意過失、又は右各機関のそれぞれの構成員である国会議員全体又は国務大臣全体の故意過失が認められれば、国家賠償法一条の要件を充たすものというべきである。

(三) 因果関係について

立法行為だからといつて、別個に因果関係の範囲を限定すべき理由はなく、一般の場合と同様に相当因果関係の有無を判断すれば足りる。

6  中央教育審議会答申について

政府諮問機関である教育課程審議会の昭和五一年一二月八日答申は、「国民として必要とされる基礎的・基本的内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること」とし、その教育課程の対象の中に高校教育も含まれている。

7  被告国の講じている施策の不充分性

(一) 日本育英会法に基づく奨学制度について

奨学制度は本来すべての国民の無差別平等な学習権保障をめざすものであるべきところ、「優秀ナル学徒」の文言から明らかな学業成績重視の構造をもつ右制度は、青少年の無限の発達可能性を矮小化し、経済的差別と密接に結びつくものであり、教基法三条二項と無関係な制度である。しかも、準義務化している高校教育について貸与制をとつていること自体、時代のすう勢に適合せず、受益の対象者も約六〇人に一人であり、その貸与額も平均的超過学費の半分にも達していない。

(二) 私立学校振興助成法に基づく経常費助成制度も、私学の窮状に若干の寄与をするとしても、生徒の超過学費の軽減にはほとんど役に立つていない。定時制及び通信制課程修学奨励制度、母子福祉貸付制度も、対象人員が限られており、国の対策としては極めて微少な比重を占めるにすぎない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一被告国の教育諸条件整備義務

国民は、一個の人間として、自己の能力を発達させ、人格を完成させるために必要な学習をする生来の権利を有する。教育を受け学習することは、国民各自の成長、発達のために不可欠であるのみならず、日本国憲法のめざす民主的で文化的な国家の主権者として民主政治的能力を身につけ拡充していくために、さらには高度に発達した現代社会において人間の生存の基礎をなす労働の意欲と能力を習得するためには不可欠であるといわなければならない。そして、単に学習の自由が保障されただけでは、国民とりわけ経済的弱者の教育を受ける権利が現実には充足されないことが認識されるに至り、教育を受ける権利は国家に対し積極的に教育諸条件の整備を要求する社会的基本権に高められ、これに対応し、被告国は、国民の教育を受ける権利が経済的条件等によつて阻害されることなく、現実に保障されるように、教育に関する諸施設を設置し、奨学金制度を創設、拡充する等教育諸条件を整備する義務を負うに至つたものである(憲法二六条、教基法三条、一〇条二項、一一条)。

二教育諸条件整備義務を負う公務員

1  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関であり(憲法四一条)、予算の議決権を有し(憲法八六条)、国会議員は憲法尊重擁護義務を負うものであるから(憲法九九条)、国会を構成する国会議員は、全体として、その有する法律制定権、予算議決権を適正に行使することによつて国民の教育を受ける権利が現実に保障されるよう教育諸条件を整備する義務を負うことは明らかである(教基法一一条)。

2  行政権は、内閣に属し(憲法六五条)、内閣は、法律案の提出権(憲法七二条)、法律を誠実に執行する義務(憲法七三条一号)、予算案の専属的提出権(憲法七三条五号、八六条)を有し、国務大臣は憲法尊重擁護義務(憲法九九条)を負つている。行政権の主体としての内閣が教育諸条件の整備を図るためには法律および予算上の根拠を必要とし、法律制定権、予算議決権が国会の権限に属することは明らかであるけれども、福祉国家の理念に基づき国民の福祉を積極的かつ現実的に向上せしめることを目的とする行政権の主体である内閣は、消極的に国会の制定する法律を実施するにとどまらず、国会が適切な立法措置等を講じないときは、その有する法律案提出権、予算案提出権を行使して法律の制定、予算の成立を促す義務を有するといわなければならない。したがつて、内閣を構成する国務大臣もまた、全体として、その有する法律案提出権、予算案提出権を適正に行使することによつて国民の教育を受ける権利が現実に保障されるよう教育条件を整備する義務を負うものといわなければならない。

三教育諸条件整備義務の性格

1  裁判所は、「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」けれども(憲法八一条)、国の最高法規である憲法の定める範囲内において(憲法九八条一項)、国会は、立法を行い、予算措置を講じるか否か、また立法措置、予算措置を講じるとしていかなる種類、内容の立法措置、予算措置を講じるかについての裁量権を有し、内閣も同様に法律案を提出し、予算措置を講じるか否か、いかなる種類、内容の法律案を提出し、予算案を提出するかについて裁量権を有する。すなわち、国家統治、基本的人権についての最高規範であるという性格上、憲法は、国家統治、基本的人権の大綱を定めるにとどまり、その実施のために法律等によつて具体化されることを予定しているのであつて、国会又は内閣は、最高法規である憲法の根本原則諸規定から合理的に認められる裁量の範囲内において、政治的政策的かつ専門的見地に立つて、いかなる種類、内容の立法措置、予算措置を講じるかを自由に決定しうるものである。しかしながら、国会又は内閣が右裁量権の範囲をこえ又はこれを濫用して右各措置を講じなかつた場合は、国会又は内閣の右不作為又は施策の不充分さは、作為義務に違反するものとして違憲違法になるものと解すべきである。

2  被告国は憲法二六条、教基法三条等の規定は教育の機会均等を保障すべき国会や内閣の政治的責務を定めたものにすぎず、法的義務を定めているものではない(したがつて、もともと裁量権の範囲の逸脱ということはありえない)旨主張するけれども、右見解は、左の理由により採用できないといわなければならない。

(一)  憲法一三条は、個人の尊重、国民の基本的人権の最大の尊重を、憲法九八条一項は、憲法の最高法規性をそれぞれ定めているが、自由的基本権と社会的基本権の保障について何ら差異をもうけてはいない。

(二)  憲法のよつて立つ経済的基盤は資本主義経済であり、それは個人の生活について自助を原則とするけれども、社会的基本権は、資本主義経済を前提とし、資本主義経済が不可避に生み出す経済的弱者の生存権等を国家の積極的介入によつて一定の限度保障しようとするものであるから、教育をうける権利はそれが資本主義経済に基盤をもつ権利であるからといつて国会や内閣の全き裁量に委ねられ、法的判断の全く入り込む余地のないものと解するのは相当でない。

(三)  憲法二六条一項の「法律の定めるところにより」とは、憲法一七条、四〇条と同様な規定の仕方を採用しているところからすると、法律によらなければ、個々の国民に具体的な請求権が発生しないことを意味すると共にそのために必要な法律の制定を被告国に義務づけた規定と解すべきである。

(四)  教育を受ける権利の具体的内容は、時代とともに変遷するものであり、抽象的規定しかおいていない憲法の条文解釈から一義的に決定しえないことは所論のとおりであるけれども、右の困難さは自由的基本権の解釈にも同様に伴うものであつて(特に「公共の福祉」憲法一三条、二二条、二九条)、社会的基本権と自由的基本権との間における具体的内容の確定の困難さの差異は量的差異にすぎない。しかも、教基法は「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため」制定されたものであり(教基法前文)、憲法の付属法的地位を有するが、憲法二六条の意味内容を明らかにするかなり具体的規定をも有しているのであつて(とりわけ教基法三条二項)、教育を受ける権利の具体的内容の確定の困難さをかなりの程度軽減しているところである。

(五)  教育諸条件の整備を行うためには多額の予算を必要とすることは明らかであるけれども、予算は、その法的性格については争いがあるとはいえ、最高法規である憲法の下位に位置するものであつて、憲法が義務づけている施策の実施のために必要な予算措置をとることは、憲法によつて義務づけられているものといわなければならない。

(六)  立法措置をしないことの不利益から国民を救済するために直接的方法である立法不作為の違法確認訴訟等を認めることは、憲法八一条の解釈上かなりの困難を伴うけれども、憲法自身が右直接的司法救済の方法を規定していないことを理由に、憲法二六条が、不作為を違法として国家賠償請求をする際の前提要件である作為義務(法的義務)の根拠となることまでをも否定することはできない。

(七)  教育を受ける権利が社会的基本権だからといつて、不作為が違憲であることが明白な場合にまで司法的救済の方法を閉ざすとの解釈は、いかに三権分立制を強調したとしても採用しえないといわなければならない。

四国会、内閣の裁量権の限界

国会、内閣は憲法の認める範囲内でのみ裁量権を有することは前記三説示のとおりであるけれども、高校教育にかかる教育諸条件の整備を図るためにいかなる種類、内容の施策を講じるべきかについて、国会、内閣の裁量権の範囲が極めて広いことは認めざるをえない。すなわち、

1  憲法二六条は、無償制の義務教育制度の設置はこれを明確に義務づけているけれども(二項)、義務制とされない段階における教育条件の整備の内容については明確に規定しておらず(教基法二条の規定もいまだこれを具体的に定めているとはいえない。)。抽象的に規定するにとどまつており、その具体的内容は、その時代の文化、社会の発展の程度、教育に対する社会の関心、熱意その他の諸状況によつて変動しうるものであり、また変わり高められていくことが予定されているものであつて、その変遷の程度は自由的基本権のそれと較べてはるかに大である。

2  しかも、教育を受ける権利は、原則として国家の不作為を要求する自由的基本権と異なり、国民全体又は国民のかなりの部分を対象として国家の積極的関与を要求する性格上、これを実現するためには莫大な額の予算を必要とするのであつて、他の諸施策における予算の配分、必要な場合には新たな財源の確保等他の諸政策との調和を図りつつ、総合的かつ長期的展望に立つた国会や内閣の政治的、専門的裁量が不可避である。

3  高校教育にかかる教育諸条件整備のための施策が本来国民の代表者によつて構成される国会の審議の場で決定、実現されるべきであることはもちろんであるけれども、後記認定のとおり国民のうち多数の者が現にその子女を高校に進学させ、又は将来進学させるはずであつて、ごく少数の者の自由的基本権が問題となる場合とは異なり、高校教育の充実を求める国民は、その意思を選挙、請願等の手段を通じて政策決定の場に大きく反映させることが可能であると認められるから、講ぜられるべき施策の内容の決定を国会の広範な裁量に委ねることには高度の合理性がある。

4  教育を受ける権利が保障されるか否かは国民各自の将来の生活に対し計り知れない影響を与えるものではあるけれども、国民の直接の生死にかかわる生活保護(生存権の保障)の問題に較べれば、緊急性、重要性の程度に差があり、しかも保障の限界の画定もより困難である。

以上の諸点を勘案すると、憲法は、高校教育にかかる教育諸条件の整備について、国会、内閣に対し極めて広汎な裁量を許しているものといわなければならない。

五被告国の実施している施策

被告国が高校教育に関して実施している施策について検討する。なお、都道府県等の地方公共団体も高校教育の振興助成をはかるべき責務を有するから(地方自治法二条三項五号、六項、教基法三条二項)、地方公共団体の講じている施策も一体として検討することとする。

1  生活保護法一二条、一三条によると、高校教育を受けるために必要な生活費、教育費は生活保護の対象とされていない。

2  被告の主張7(一)、8(一)の事実(被告国が講じている施策)は、原告らにおいて明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。

3  被告の主張7(二)、8(二)の事実(大阪府が講じている施策)は、兵庫県居住の原告川満菊江(原告番号14)、京都府居住の原告岩井貞雄、同岩井明美(同17)を除くその余の原告ら(いずれも大阪府居住者)において明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。

4  〈証拠〉によると、原告川満菊江の子女歌久子、原告岩井貞雄、同岩井明美の子女裕子も、授業料軽減措置の適用を受けていることが認められる。

5  以上の事実に、〈証拠〉を総合すると、

(一)  私立高校生の学費負担軽減の施策として中心的役割を果している経常費補助制度(被告の主張8(一)(二)(ア))にもとづく助成額は、本件で問題となつている昭和四八年度から昭和五一年度にかけて、一人あたり二万一〇〇〇円から六万〇〇〇〇円に増額されており、物価の上昇を考慮に入れてもかなりの増加と認められること

(二)  大阪府の私立高等学校生徒授業料軽減制度(被告の主張8(二)(2)(ア))は、昭和四八年度においては、私立高校生の三五%を対象とし、軽減額は二万四〇〇〇円であつたが、昭和五〇年度においては、五〇%を対象とし、五万円又は三万三〇〇〇円を軽減するものであつて、対象人員、軽減額とも相当程度拡大されていること

(三)  日本育英会法に基づく育英奨学金制度(被告の主張8(一)(1)(ア))は、全高校生の約二%を対象とする施策であり、また大阪府育英会事業(被告の主張8(二)(1))も、入学資金と奨学資金をあわせると、高校生の約一%を対象とする施策である。

(四)  その他の定時制及び通信制課程修学奨励制度(被告の主張8(一)(1)(イ))、同和対策高等学校等進学奨励制度(同8(一)(1)(ウ))、理科教育等設備整備費補助制度(同8(一)(2)(エ))等の諸制度も、対象とする分野、目的をそれぞれ異にしているとはいえ、いずれも私立高校生の学費負担軽減について効果ある制度であることは明らかである。

六高校教育の実態

次に、高校教育の実態について検討する。

1  請求原因3(一)(学校教育法の規定)、(二)(高校進学率の推移)の事実は当事者間に争いがない。同(三)の事実のうち、国家公務員の採用試験がいずれも大学、短期大学又は高校卒業程度とされていることは当事者間に争いがなく、〈証拠〉によると、大阪府における昭和四八年度三月の中学校卒業者の就職状況は、求人倍率14.8倍、農・林・水産業・鉱業、建設業、製造業に80.5%の者が就職し、また従業員一〇〇人未満の企業に34.08%、五〇〇人以上の企業に27.77%の者が就職したこと、同時期の高校卒業者の右に対応する各数値は、それぞれ、7.4倍、47.37%、29.23%、35.68%であること、中学校卒業者のうち就職を希望する者は減少の傾向にあり、絶対数も著しく少ないことが認められ、高校卒業者に較べ、中学校卒業者がいわゆる大企業に就職できる割合が低いこと、中学校卒業者の職種は、製造業等生産に携わる仕事が多く、事務系が少ないこと、中学校卒業者に対する求人倍率が高いのは、求職者の絶対数が少ないことが一因をなしていることを窺い知ることができる。同(四)(1)の事実は当事者間に争いがない。

2  同4(一)の事実のうち、公立高校と私立高校の収容割合が別紙3、4記載のとおりであることは当事者間に争いがない。

3  同5(一)の事実(公立高校の授業料等)は、大阪府の公立高校の昭和五一年度入学者の入学検定料及び昭和五一年度授業料を除き、当事者間に争いがなく、〈証拠〉によると、右入学検定料及び昭和五一年度授業料の合計額は一万二九〇〇円であることが認められる。同(二)の事実(私立高校の授業料等)のうち、大阪府下の私立高校の入学金及びその他の入学一時金、授業料及びその他の経常的納付金の額が昭和四〇年度から同四九年度まで別紙5記載のとおりであることは当事者間に争いがない。同(三)の事実(公私立高校の学校教育費の負担区分構成)は当事者間に争いがない。

七公教育の無償制と裁量権の限界

1  原告らは、現在の高校教育は普通教育の実態を有するから、高校教育における学費はあらゆる所得階層の生活を圧迫しないようできるかぎり低廉でなければならないとし、現行の施策は憲法二六条に違反する不充分なものであると主張する。

2 たしかに、前記六認定の事実のみからしても、高校教育に対する社会的要求が著しく増大しているにもかかわらず現行の私立高校の入学金、授業料が甚だ高額であることが認められるけれども、前記四に説示したように、高校教育にかかる教育諸条件の整備について、国会、内閣の有する裁量権の範囲が極めて広いことに鑑みると、原告ら主張の事実(請求原因1、3ないし6、9の事実のうち、前記六認定以外の事実)がその主張どおりであつたとしても、国会、内閣が、被告国や大阪府が現に行なつている前記諸施策のほか、これ以上に立法措置、予算措置等を講じていないことが右裁量権の範囲をこえ又はこれを濫用するものである(すなわち違憲である)とまでは認められない。

3  すなわち、国民の教育を受ける権利は、義務教育を受ける権利にとどまらず、高校教育や大学教育さらには社会教育等に及ぶものであり(教基法二条)、そのためには高校教育を無償制に近づける方策が抜本的施策として望しいことは原告ら主張のとおりである。

(一)  原告らは、高校進学希望者全員を収容するだけの公立高校を設置すべきである旨主張するけれども、〈証拠〉から認められるように大阪府においては公立高校一校を設置するために約五〇億円を必要とし、その維持のためにも多額の予算を必要とし、さらには既存の私立高校の存廃問題も絡むことは明らかである。したがつて、高校進学希望者全員を収容するに足る公立高校を設置するか否かを決定するためには、高校教育の実態、高校教育に対する社会的要求等のほかに被告国や地方公共団体の財政状況、他の福祉政策等との間における予算の配分割合その他広汎な範囲にわたる諸要素について、政治的専門的見地からの判断が必要である。以上の点からすると、国会、内閣が、高校進学希望者全員を収容するに足る公立高校を設置するために、被告国自身がその財政負担について責任をもつことを内容とする法律の制定、予算措置を講じていないことをもつて、直ちに憲法二六条に違反する違法な不作為であるとはいえないところである。

(二) 原告らは、さらに、私立高校の超過学費額に相当する給与制の奨学金支給制度を設けるべきであり、少なくとも父兄の収入が一定額以下の者に限定して超過学費の全部または一部を奨学金として支給すべきであると主張する。被告国や大阪府等が講じている施策は前記五認定のとおりであり、別紙6の学校教育費の負担区分構成から明らかなとおり憲法二六条の趣旨をあますところなく実現しているとは必ずしもいいがたいところである。しかしながら、被告国等が私立高校生の学費軽減のためにとつている施策も前記五5説示のとおり拡大強化されているのであつて、高校教育の実態、高校教育に対する社会的要求、被告国や地方公共団体の財政状況、他の福祉政策等との間の予算の配分割合等について政治的専門的見地からの判断が必要であること等に鑑みると、被告国が原告ら主張のような施策をとらないことが直ちに憲法二六条に違反する違法な不作為であるとは認められないところである。

八費用負担均等と裁量権の限界

1  原告らは、父兄の負担する学費額は、その子女が公立高校に通学していようと私立高校に通学していようと均等でなければならず、公立高校の授業料等に較べ、著しく高額な私立高校の学費負担額は教育の機会均等に違反すると主張する。

2  公立高校の入学定員が入学希望者全員を入学させるには足りない場合、その選抜方法がその時代において合理的と認められる方法でなければならず、不合理な差別があれば憲法一四条に違反することはもちろんである。教基法三条にいう教育の機会均等とは、右の形式的平等を宣明するとともに、国民の教育を受ける権利が現実に保障されるように、とりわけ教基法三条二項の規定から明らかな如く、能力があるにもかかわらず経済的理由によつて教育を受ける機会が阻害されることのないように、被告国が積極的な施策を講じ、実質的平等を図るよう努めるべきことを宣明している。そして、実質的平等を図るためにある施策を講ずる場合、被告国が国民全体を対象とする施策のみならず、国民の一部の者のみを対象とした施策を採用することも可能であつて、それは憲法自身も予定しているところであるが、右の場合、いかなる程度の施策とするか、いかなる範囲の者を対象とするか、異なる複数の施策を併用するか否か等は、当該施策の趣旨、目的、被告国の財政状況をふまえた国会、内閣の広汎な裁量に委ねられているのであつて、かような裁量権の行使がその範囲をこえ又は濫用にあたるとして違法となるのは、施策の対象者の限定が恣意に基づく等不合理であることが明白な場合でなければならない。

3 公立高校と私立高校の授業料等の格差が数十倍にも及んでいることは前記認定のとおりである。そして、希望者全員を入学させるに足りない数の公立高校しか設置しないことによつて、同じく高校進学希望者でありながら低額な学費で公立高校を利用しうる者とそうでない者とが生じることはさけられないけれども、いかなる数の公立高校を設置するか、私立高校に対していかなる程度の助成を行うかは、被告国がその財政状況、将来の高校進学者数、私学助成の歴史的経過等さまざまな要素を総合考慮して決定すべき性格のものであること、しかも私立高校の学費軽減についての被告国の施策が高校教育は無償制に近づけるのが望ましいとの観点に立つても憲法二六条に違反するものではないこと前記七認定のとおりである。そして、右判示を肯認する以上、公立高校生の入学者選抜方法に不合理な差別の認められない本件においては、被告国が公立高校を設置し低額な費用で国民の利用に供する施策をとることが私立高校生に対する学費軽減額よりも多額の学費軽減を公立高校生にもたらす結果になるとはいえ、国会、内閣が高校入学希望者数に見合う公立高校を設置するための施策をとらず、しかも私立高校の学費を公立高校のそれと同額にする施策をとつていないことをもつて、それが恣意に基づく等教育の機会均等に反することの明白な場合にあたるとはいえないところである。

九結論

思うに、原告らの子女の学費支出にともなう経済的困難及びその心情はこれを察しうるけれども、如上説示のとおり被告国の不作為を目して法的作為義務に違反する違法なものであるとは断じがたいのであるから、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも失当として棄却するほかはない。よつて、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用し、主文のとおり判決する。

(荻田健治郎 寺崎次郎 市川正巳)

原告別一覧表の見方

原告番号 原告氏名

(1)

子女名(続柄)

(2)

私立高校名(科)

(3)

通学の年度(学年)

(4)

入学検定料

入学金

その他の入学一時金

授業料

その他の経常的納付金

公立高校学費

補 控除すべき授業料補助金

奨 控除すべき大阪府高等学校等修学奨励費

(単位はいずれも円)

被告国の認否欄

(単位はいずれも円)

(5)

請求額(単位は円)

(6)

私立高校進学の理由

(7)

原告の職業

原告の月収(単位は円)

原告の個別事情

1 栗山百合子

(1)

明仁(三男)

(2)

大阪福島商業(商業)

(3)

五〇①

(4)

六〇〇〇

八万〇〇〇〇

} 一三万〇〇〇〇

五万三六〇〇

一五万三六〇〇

} 一六万〇三〇〇

一二〇〇

七五〇〇

奨 六万三三〇〇

(5)

二二万三六〇〇

(6)

学力上の理由

(7)

無職

四万

原告は被差別部落に居住し、母子家庭であり、病身で働けないため月額四万円の生活保護手当の支給を受け、その不足分は長男及び次男からの僅かずつの仕送りによりまかなつているが、長女も園田学園女子短期大学に在学中であり、解放奨学金を得ているとはいえ、二人の私立校生をかかえ生活は極めて困難である。

2 木本菊治 木本久枝

(1)

A   忠広(長男)

B   里美(次女)

(2)

A   大鉄(普通)

B   住吉学園(普通)

(3)

A 五〇①

B 四八①ないし五〇③

(4)

A 五〇年度

五〇〇〇

七万〇〇〇〇

七万〇〇〇〇

一六万八〇〇〇

} 一七万五〇〇〇

七五〇〇

奨 八万七九〇〇

B 四八年度

三〇〇〇

四万〇〇〇〇

二万〇〇〇〇

八万〇四〇〇

七五〇〇

奨 七万一二五〇

B 四九年度

八万〇四〇〇

七二〇〇

奨 九万七〇〇〇

B 五〇年度

八万〇四〇〇

八万三四〇〇

七二〇〇

奨 六万一四〇〇

(5)

三六万五六〇〇

(6)

中学の進路指導

(7)

保育所現業員(久枝)

八万〇七〇〇(久枝)

原告らは被差別部落に居住し、原告木本菊治は病気のため働けず、五人家族で二人の私立高校生をかかえ、生活は極めて困難である。

3 伊藤辰夫

(1)

辰次郎(長男)

(2)

此花学院(商業)

(3)

四八①ないし五〇③

(4)

四八年度

三〇〇〇

四万〇〇〇〇

三万〇〇〇〇

七万四四〇〇

} 八万〇四〇〇

一万三四八〇

七五〇〇

奨 二万二六五〇

四九年度

八万〇四〇〇

} 八万〇四〇〇

四八〇〇

七二〇〇

奨 八万九二五〇

五〇年度

八万〇四〇〇

} 八万〇四〇〇

一万二〇八〇

七二〇〇

奨 九万一六〇〇

(5)

一一万三一六〇

(6)

学力上の理由

(7)

団体役員

一三万〇〇〇〇

原告は被差別部落に居住し、母と在学中の二人の子女をかかえ生活は困難である。

4 〈以下、省略〉

別紙1

別紙2

都道府県別の高等学校等への男子進学率と女子進学率(%)

区分

昭和40年

昭和50年

71.7

69.6

91.0

93.0

北海道

68.4

64.2

86.9

88.9

青森

57.0

51.5

83.7

88.7

岩手

57.5

54.5

82.4

86.9

宮城

64.6

64.8

88.5

91.5

秋田

62.8

62.1

84.0

88.3

山形

66.9

63.9

91.7

93.4

福島

63.3

60.3

82.9

85.6

茨城

58.3

61.6

87.0

90.2

栃木

61.3

61.6

88.0

90.5

群馬

68.5

68.7

91.7

94.5

埼玉

69.6

70.2

93.3

94.2

千葉

66.8

67.2

90.1

91.8

東京

87.3

86.3

96.2

97.1

神奈川

81.1

80.5

93.4

95.2

新潟

68.5

60.4

89.4

92.4

富山

77.9

73.7

96.0

96.8

石川

71.6

69.0

94.3

96.5

福井

69.0

64.8

93.2

93.3

山梨

77.3

74.6

93.3

95.0

長野

72.1

71.7

94.2

96.2

岐阜

70.1

63.3

93.0

94.2

静岡

69.1

70.3

89.0

93.7

愛知

76.5

71.9

91.5

92.3

三重

69.1

63.8

90.9

93.0

滋賀

69.5

61.9

92.7

91.1

京都

76.6

75.5

93.8

94.5

大阪

80.1

76.4

85.0

94.0

兵庫

74.0

75.9

94.5

96.0

奈良

75.9

75.0

94.6

94.9

和歌山

67.1

67.8

90.2

92.9

鳥取

72.0

75.1

92.7

95.9

島根

66.6

62.9

89.9

91.6

岡山

75.8

79.7

93.6

97.2

広島

82.6

84.1

96.9

97.8

山口

77.2

78.6

94.6

95.9

徳島

64.1

66.2

87.8

91.0

香川

79.5

81.2

93.7

97.0

愛媛

66.4

68.0

91.5

93.9

高知

62.0

61.5

85.8

91.2

福岡

76.1

73.3

92.6

93.5

佐賀

71.7

66.0

91.4

93.5

長崎

61.7

56.5

85.4

90.3

熊本

62.9

58.2

88.4

91.3

大分

73.9

73.0

91.1

92.6

宮崎

61.5

53.3

85.7

88.4

鹿児島

66.2

56.2

90.1

91.1

沖繩

68.9

81.4

別紙3

大阪府における四六年度より

四六年度までの公立中よりの

高校進学者についての公立高校と

私立高校の収容割合(年度は学年度をいう。)

(単位 %)

年度

公立

私立

四五

55.6

44.4

四六

55.6

44.4

四七

55.1

44.9

四八

56.1

43.9

四九

58.2

41.8

五〇

61.5

38.5

別紙4

昭和四九年度五月一日現在の大阪府下における高校数と生徒数

私立高校

府立高校

高校数

八一

一三四

生徒総数

一一二、五四六

一四七、七八四

男子校

五四、六八四

八二、七二四

女子校

五七、八六二

六五、〇六〇

生徒総数比率

43.23%

56.77%

別紙5

単位:円

区分

公立高校(A)

私立高校(B)

比較

(A)/(B)倍

入学金等

入学一時金

授業料等経常的

納付金額

合計

40年度

7,200

82,000

11.4

41年度

7,200

88,000

12.2

42年度

7,200

98,600

13

43年度

7,200

97,100

13.5

44年度

7,200

49,200

68,100

117,300

16.3

45年度

7,200

53,200

73,200

126,400

17.6

46年度

7,200

64,300

78,200

142,500

19.8

47年度

7,200

70,500

88,100

158,600

22

48年度

7,200

76,100

104,400

180,500

25.1

49年度

7,200

98,800

126,100

224,900

31.2

50年度

7,200

138,800

180,800

314,600

43.7

51年度

12,000

54,100

213,200

367,300

30.6

〈注〉 経常的納付年額はその年度の新入学生の分である。

別紙6

学校教育費の負担区分構成

区分

高等学校

公立

私立

(1)

100

100

(2)

2.1

0.4

(3)

地方公共団体

95.6

14.4

(4)

寄付金

2.3

5.4

(5)

学校法人

0

79.8

(6)

生徒学校納付金

3.9

47.0

生徒学校納付金は,公立高校の場合,授業料・入学金等であり,

私立高校の場合,授業料・入学金・施設拡充費・実験実習費等で,

(5)学校法人に含まれているのを,再掲したものである。

別紙7

年度

四八

四九

五〇

五一

入学支度金

公立

四二、五〇〇

四二、五〇〇

四二、五〇〇

四二、五〇〇

私立

九二、五〇〇

一一〇、〇〇〇

一四五、〇〇〇

一六五、〇〇〇

奨学金(年額)

公立

九〇、〇〇〇

九〇、〇〇〇

九〇、〇〇〇

九〇、〇〇〇

私立

一六五、〇〇〇

一九〇、〇〇〇

一九〇、〇〇〇

一九〇、〇〇〇

公私立差額

一二五、〇〇〇

一六七、五〇〇

二〇二、五〇〇

二二二、五〇〇

別紙8

控除すべき奨学金計算表

(単位:円)

(1)

(2)

(3)

(4)

教育費

(12)

原告番号

原告名

生徒名

年度

奨学金

公私立

差額

(5)

PTA会費

(6)

クラブ会費・生徒会費

(7)

修学旅行費

(8)

教科書

(9)

服装費

(10)

通学費

(11)

合計

4-10

控除すべき奨学金額

1

栗山百合子

明仁

50

202,500

3,900

3,000

60,000

18,000

29,000

25,300

139,200

63,300

2

木本菊治

忠広

50

202,500

4,800

3,400

30,630

55,500

20,320

114,650

87,900

久枝

里美

48

125,000

1,550

1,200

20,500

30,500

53,750

71,250

49

100,000

1,800

1,200

3,000

97,000

50

100,000

2,400

1,200

35,000

38,600

61,400

3

伊藤辰夫

辰次郎

48

125,000

2,700

1,800

35,000

14,050

20,000

28,800

102,350

22,650

49

100,000

4,800

3,600

2,350

10,750

89,250

50

100,000

4,800

3,600

8,400

91,600

21

辻中広次

ひろ美

51

222,500

3,500

50

12,600

30,000

38,820

84,970

137,530

秀子

22

河合ハル子

剛志

50

202,500

3,600

5,970

10,000

34,000

42,080

95,650

106,850

貞次

51

100,000

3,600

5,970

40,000

26,000

42,080

117,650

-17,650

23

大磯岩男

和明

50

202,500

4,800

12,000

12,000

22,500

25,470

76,770

125,730

ナツエ

51

100,000

9,600

12,000

12,000

34,950

68,550

31,450

24

辻中君子

ゆかり

51

222,500

3,000

1,500

40,000

7,000

54,000

114,680

220,180

2,320

25

辻中義武

51

222,500

1,000

1,000

5,000

30,000

35,920

72,920

149,680

宮子

別紙9

大阪府下の公私立高等学校生徒納付金(年額)比較

年度

公立高校(A)

私立高校(B)

比較

(B/A)倍

入学金等

入学一時金

授受料等

経常的納付金

合計

50

7,200円

132,500円

181,300円

313,800円

43.6倍

51

12,600

154,000

215,000

369,000

29.3

52

24,000

154,000

215,000

369,000

15.4

別紙10

内訳

(単位:円)

年度

市町村別

入学支度金

奨学金

公私立差額

公立

私立

公立

私立

48

大阪市

55,000

120,000

102,000

180,000

143,000

その他

42,500

92,500

90,000

165,000

125,000

49

大阪市

65,000

145,000

114,000

216,000

182,000

その他

42,500

110,000

90,000

190,000

167,500

50

大阪市

75,000

185,000

216,000

252,000

236,000

その他

42,500

145,0001

90,000

190,000

202,500

51

大阪市

75,000

185,000

138,000

276,000

248,000

東大阪市

42,500

190,000

90,000

200,000

257,500

堺市

45,000

165,000

90,000

200,000

230,000

岬町

42,500

165,000

90,000

200,000

232,500

別紙11

新規中卒者及び高卒者(昭和51年3月卒)の職業紹介状況

区分

新規中卒者

新規高卒者

男子

女子

男子

女子

a求職者数(人)

59,457

25,299

34,158

451,921

189,934

261,987

b求人数(人)

245,451

94,680

150,771

1,004,656

483,349

521,307

c就職者数(人)

59,403

25,255

34,148

450,963

189,444

261,519

d求人倍率(b/a)(倍)

4.13

3.74

4.41

2.22

2.54

1.99

e充足率(c/d×100)(%)

24.2

26.7

22.6

44.9

39.2

50.2

労働省「職業安定業務統計」

別紙12

生涯賃金現価額の学歴別格差(製造業,男子)

区分

規模1,000人以上

100~999人

小学・新中卒

旧中・新高卒

小学・新中卒

旧中・新高卒

昭和41年

97.4

100.0

96.5

100.0

49年

97.9

100.0

97.3

100.0

(注) 1. 就業期間は,小学・新中卒が15?54才,旧中・新高卒が18~54才とした。

2. 50~54才層の賃金は,資料の制約上昭和41年は,50~59才層の平均賃金を用いた。

労働省「昭和50年労働経済の分析」より作成

別紙13

公立高等学増設建物費補助金(昭和51年度創設)の推移

単位:千円

年度

51

52

53(予算)

国庫補助金

3,984,000

10,858,000

19,302,000

別紙14

私立高等学校新増設建物費補助金(昭和51年度創設)の推移

単位:千円

年度

51

52

53(予算)

国庫補助金

245,000

301,000

451,000

別紙15

日本育英会の事業の概要(予算)

48年度

49年度

50年度

51年度

52年度

53年度

事業費総額

百万円

28,018

百万円

31,907

百万円

39,027

百万円

45,091

百万円

51,273

百万円

61,334

うち高校分

3,402

3,818

4,009

4,751

5,584

6,784

貸与人員

313,668

317,587

324,328

329,378

335,778

343,178

うち高校分

89,677

90,001

90,251

91,251

92,251

93,851

貸与月額

一般貸与

3,000

3,000

国公立3,000

5,000

5,000

6,000

(高校分)

私立4,000

6,000

7,000

8,000

特別貸与

4,000

4,000

国公立4,000

6,000

6,000

7,000

私立6,000

8,000

9,000

10,000

別紙16

定時制課程修学奨励費(49年度創設)

年度

49

50

51

52

53

対象学年

1年生

1,2年生

1~3年生

1~4年生

1~4年生

対象生徒数

9,420人

17,070人

17,695人

23,283人

20,308人

貸与月額

3,000円

3,000円

1年5,000円

2,3年3,000円

1,2年5,000円

3,4年3,000円

1年6,000円

2,3年5,000円

4年3,000円

予算額

169,560千円

307,260千円

384,720千円

552,366千円

580,734千円

別紙17

通信制課程修学奨励費(51年度創設)

年度

51

52

53

対象学年

1年次生

1,2年次生

1~3年次生

対象生徒数

3,270人

6,435人

5,983人

貸与月額

5,000円

5,000円

1年6,000円

2,3年5,000円

予算額

98,100千円

193,050千円

197,706千円

別紙18

奨学金(高等学校・高等専門学校)給付内訳

年度

41~43

44

45

46

47

48

49

50

51

52

53(予算)

給付人数

16,330

9,585

13,000

20,000

20,800

22,000

国公立

18,700

国公立

21,800

国公立

23,350

国公立

25,000

国公立

25,300

私立

9,300

私立

11,500

私立

11,850

私立

12,300

私立

12,500

給付月額

1,500

1,500

2,000

2,000

3,000

4,000

国公立

4,000

国公立

4,000

国公立

6,000

国公立

7,000

国公立

8,000

私立

5,000

私立

7,000

私立

8,000

私立

10,000

私立

12,000

補助業者数

31

31

33

34

34

37

37

39

41(予定)

別紙19

通学用品等助成金給付内訳

年度

48

49

50

51

52

53(予算)

給付人数

7,250人

9,300人

11,100人

11,700人

12,000人

13,680人

給付単価

15,000円

15,000円

20,000円

20,000円

20,000円

20,000円

補助事業者数

34

37

37

39

41(予定)

別紙20

私立高等学校等に対する都道府県の経常費助成に対する財源措置の推移

(a) 総額

単位:億円

区分

45

46

47

48

49

50

51

52

53(予定)

地方交付税

83

141

235

375

696

899

1,091

1,275

1,549

国庫補助金

80

180

300

440

83

141

235

375

696

979

1,271

1,575

1,989

(b) 生徒等1人当り額(高等学校,中学校,小学校分)

単位:円

区分

45

46

47

48

49

50

51

52

地方交付税

5,000

8,360

13,600

21,000

38,100

43,000

50,500

56,700

国庫補助金

5,000

9,500

16,400

5,000

8,360

13,600

21,000

38,100

48,000

60,000

73,100

別紙21

私立高校に対する高等学校クラブ活動設備等助金の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

国庫補助金

56,088

50,069

38,975

44,273

29,855

別紙22

私立高校に対する高等学校定時制及び

通信教育設備整備費等補助金(昭和49年度創設)の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

国庫補助金

563

130,011

171,935

219,081

258,739

別紙23

私立高校に対する理科教育等設備整備補助金の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

国庫補助金

156,096

172,357

179,302

145,783

138,981

別紙24

私立高校に対する高等学校産業教育施設・

設備整備費補助金の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

国庫補助金

388,382

354,827

360,521

790,683

532,141

別紙25

私立高校に対する一般施設費の貸付額の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

(計画)

貸付金

8,354,000

8,813,000

10,299,000

16,168,000

14,800,000

別紙26

大阪府育英会事業の概要(予算)

年度

48

49

50

51

52

事業費総額

千円

217,200

千円

291,600

千円

291,600

千円

318,000

千円

441,800

うち高校分

133,800

169,800

169,800

205,800

284,400

貸与人員

2,800

3,700

3,700

4,100

4,100

うち高校分

入学資金

1,500

1,500

1,500

1,500

1,500

奨学資金

400

900

900

1,400

1,400

貸与額(高校分)

入学資金

70,000

70,000

70,000

70,000

100,000

奨学資金

(月額)

6,000

6,000

6,000

6,000

8,000

別紙27

私立高等学校生徒授業料軽減補助金の推移

年度

48

49

50

51

52

大阪府補助金

千円

1,025,159

千円

1,591,576

千円

2,283,350

千円

2,253,902

千円

2,226,050

軽減額

24,000

36,000

50,000

50,000

50,000

24,000

33,000

33,000

33,000

(注) 昭和49年度以降,軽減額が2種類に分かれているのは,

保護者の所得額に応じ,より所得の低い者に対して手厚い軽減措置を講じているものである。

別紙28

私立高校に対する一般施設整備資金の貸付額の推移

単位:千円

年度

48

49

50

51

52

貸付額

197,000

128,200

118,500

145,500

269,000

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